どっぐらんの裏側

今まで書いた物まとめたり、ちょっと長めの独り言呟いたり。※無断転載禁止

色の欠けた世界について

 

犬、色覚異常があります。突然なんだよって話だと思うんですが、こういうのも説明する人がおらんと知らぬまま終わるから、説明したい人が説明しとけばいいかなって。

とはいえ可哀そうと思って欲しいわけでもないですし、まして不幸自慢でもないです。

どちらかと言えば自分自身の気付きの話。何もかも諦めたくなかったワガママ犬の奮闘記的な話なので、ふと見かけた店に気まぐれで入ってみるみたいな気持ちで、軽く眺めていってくださいませ~。

 

 

 

はい。じゃあまず、簡単なところからご説明しましょう。

色覚異常……色弱色盲、最近は配慮も含んで色覚特性などと呼ばれるものは、実はあまり珍しい物ではありません。

老若男女、先天性後天性、老化なども含めて、男性だと1/20。女性だと1/500の確率で起こり得る身体障碍です。

 

・赤色が見えにくい1型

・緑色が見えにくい2型

・青色が見えにくい3型

の三種類があると言われ、犬は1型。

 

区別がつき辛い色の組み合わせとしては、

赤⇔黒(1型のみ)

赤⇔緑

茶⇔緑

緑⇔黒っぽい灰色

橙⇔黄緑

ピンク⇔水色(1型のみ)

ピンク⇔白っぽい灰色

青⇔紫

あたりらしいですね。正直犬自身には正解はよくわからんですww

 

上述しましたが、色覚異常は然程珍しい話ではありません。犬は後天性で、幼稚園くらいまではちゃんとした色が見えていました。幼い時に高熱で脳をやられ、そこから赤色系が見えづらくなっています。

それでも発光する赤は見えたり、調子の良い時は割合見えたりと、日によって視界の違いは様々だったり。後は肉眼で見るには多少違いが判る事も、平面……とくにモニターなどで見る時は全くわからなかったりもしますし逆の場合もあります。

とはいえもう長い事この視界で生きてきたので、然程困っている事もないんですけど。

でも一つ辛い事を上げるとしたら、小さい頃の記憶がはっきりとある事ですかね。世界から色が欠けた時、既に物心がついてしまっていた事が一番辛いかもしれない。

迫ってくるような桜並木の中、見上げた枝花の隙間から目の醒めるような青空が覗いていたあの光景。それをもう二度と見られる事がないのかなと思うと、たまに締め付けられるような思いがします。

某夢の国のエレクトリカルなパレードで鮮やかなピンクを見た時は感動しました。世界って美しいんだな。

 

とまあ、こんな話をすると、「色覚異常があるのに車乗ってて平気なの?」と言われる事もあるのですが、実は自動車運転免許、色覚異常があっても割合と普通に取れます。道路標識は『青に白』とか『緑に白』とか『赤に白』とか『赤に青』とか、色覚に異常があっても見分けやすい色に設定されていますので。信号に関しても『1型ならば緑は見える』『2型3型でも赤は見える』という感じで、『進む』か『止まる』のどちらかが絶対見えますから。

ただ、飛行機や電車、船の免許は難しいみたいですね。空や海には標識がないのもそうですし、電車だって豆粒よりも小さい信号灯の色を即座に判断しなければいけませんので。

自動車運転免許を取る時にやるカラーテスト、道路標識を基準にしているようなので、やっぱり濃淡の違いがよくわかる配色です。むしろ普通の人の方が一瞬詰まるくらいの物もあるんじゃないかな?

その景色が完全な平面だと結構怪しいのですが、立体の場合は光の加減でかなり細かい景色まで見える事もあります。鳥の巣とか見つけるのは上手いよ。

ただ犬と同じ1型の方は『危険を示す赤』が見えにくいので、その点は常に意識していなければいけないとは思います。見えにくいなと思ったら赤だと思って生きてる。

 

よく言われるのは、肉が焼けたかどうかがわからない……というものですかね。赤ペンと黒ペンの違いがわからない、っていうのも聞いた事ある方がいらっしゃるかもしれません。

代表的なのはやっぱりその辺なんですが、他にも結構面白い「おや?」があったりしますww個人的に「ウケるーww」ってなったもの紹介しとこうかなww

 

・肉眼では夜桜が見えないが、写真に撮ると見える。

「私の目の画素数……低すぎ?」

スマホに負けるのかぁ」

・出かけた時、奥さんが一日で何度もお色直しする。

「さっき緑の服着てたやん五つの間に着替えたん?」

「今日お前の着替えしか持ってきてないよ」

・この色めっちゃ好き!と思って買ったカップが家で行方不明になる。

「こないだ買ったカップどこにあるか知らない?」

「今手に持ってるやつな?」

・パンツがどんどん派手になる。

「これ可愛い!」

「干すの恥ずかしいわ」

・奥さんと色違いで靴下買うと最終的に両方自分の箪笥にしまっちゃう

「ないと思ったらお前が持ってたんか!」

「あれこれ犬のとちゃう?」

・原色カラーのシャツ選びがちなのでたまに大人しい色着てると驚かれる

「あ、それ私も持ってる!」

「犬っていつも発光してるわけじゃないんだww」

・それでも赤が好き

「えんじ色が一番好きなんよ」

「見えるのか?」

「それはそれ」

・泥んこの子供が血まみれに見えて慌てる

「ひゃあちょっとねえあの子についてるの泥だよね?血塗れなわけじゃないよね?」

「それだったら私が真っ先に慌ててるわ」

・体調悪い人はすぐにわかる

「顔が急速に緑になってる」

「助かるけど怖いなその視界」

 

試しに画像を貼っておきますが、普通の人の見え方がたぶん上。犬の見え方がたぶん下。そして今現在、犬にはどちらも殆ど同じ感じで見えています。下の方が薄いかな?って感じ。逆だったら教えて。

 

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画像の対比はじゅう……あ、やだもう二十年来とかになるんじゃない?随分長い付き合いの友達に作ってもらいました。色の見え方がおかしい事に気付いてくれたのもこの子。色々せんきゅうな。

 

絵もデジタル化が進み、画面の左側にはカラーパレットなるものが鎮座しております。親切なソフトだと初めから色を用意してくれていたりするのですが、犬の視界だとその半分くらいが似たような色です。

だからクリスタちゃんが色一つ一つに名前をつけておいてくれてるのめちゃくちゃ助かるし、アナログならコピックみたいにわかりやすい番号が振ってあるのは本当にありがたい事です。クー〇ーとかだと色の配置変えた奴ぼこぼこにしてやりたくなるもん。

 

で、はい。

ここまで事実の確認ね。こっからが本題。

私は桜が好きです。そして桜がテーマになってる子が大抵推しです。推しが大体ピンクです。現実の推しもピンクばっかです。姫とかもちょとかね。

私、ヲタク。創作するヲタク。小説書く。絵も描きたい。でも色わからない。困る。

どうする?

 

「そうだ、誰かにカラーパレット作ってもらおう!!」

 

よく推し作家さんとかが、コピックで何色使ったか書いてくれてるじゃないですか。あれが本当に助かるの極みなので、デジタルでも同じ事してもーらお!と考えたわけです。

ほいでおなじみのベイ部に頼んで、カラーパレット作ってもらいました。今回特別に許可をもらったので、ここに載せさせてもらいますね。

 

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©イルヒ

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©イルヒ

 

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©きの

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©きの

 

もしよければ頼みます、と言ったら二人ともささっと協力してくれて本当にありがたかったです。最近はデジタルでやちいろ描く時、このイラスト達にいつも一緒にいてもらってる。心強い。

 

公式画像やアニメのスクショから色持ってこようにも、背景がある場合って途端に正解の色かわからなくなるんですよ。

たとえばそれが夕方なのか夜なのか、それとも朝なのかが結構わからなかったりする。これなら平気かなと思って持ってきたいろはてゃの髪が、光の加減で黄色だったりした事もありました。

元々「君の見ている赤と僕の見ている赤は本当に一緒だろうか?」みたいな話もあるので色に正解はないのかもしれませんが、犬は「皆の思う赤」に寄せていきたいタイプ。

ていうか色がうんたらだけで絵描くのあきらめたくなかったんですよ。白黒だけで終わらせるのも嫌だった。一時期本当に色の見分けがつかない時期があったんですが、それでもカラー絵描きたかったし、これはこれでいっかみたいなのも犬的にはなんか違った。勿論自分に見える色だけで鮮やかな絵を描いていらっしゃる方もいるしそれにはやはり別次元の美しさがあるのですが、犬は推しの色で推し描きたかったの。

だから「やだやだ皆と同じ色で描きたい協力して!!」と駄々を捏ね、こうして手助けを受けながら今でも絵を描いております。

自信がない時は奥さん含め色んな人に確認してもらって、えっちらおっちらやっとるわけですな。

本当に皆さんには感謝してます。いつもありがとう。そしてこれからもよろしく。

 

ていうか冗談抜きでね、カラーパレット本っっっっ当に助かってる。コピックの色や使ってる色鉛筆の紹介をしてくださる方も、とてもありがたいんです。普通の方にはなんでもない話かもしれないけど、ちょっと面白い世界で生きてる犬にとってはまさしく道しるべになりました。

見知らぬ土地で案内板を見つけた感じというか、迷子になった時に手を引いてもらった感じというか、とにかくほっとする瞬間です。

確かな指標があるだけで、かなり安心して絵を描けるようになりました。今回協力してくださった皆さん、そしていつも色チェックに付き合ってくれる皆さんにたくさんのありがとうを。

 

犬はわがままだし強欲なので、たぶん腕がもげても足で描くし、四肢がもげても口で描くと思う。首が飛んだらさすがに終わりなので、その時は来世に懸けよう。

そんな感じでこれからも諦めず、そして感謝も忘れず、世界中の綺麗な物を見ていきたい。最近は色覚異常を修正する眼鏡も開発されてますし、科学の進歩にも期待。

 

とまあこんな感じで案外お気楽に生きられるので、もし不安がある方は気軽に病院行ってみるといいと思います。別に全然この世の終わりでもないし、やりようによってはいくらでも色んな事が出来ますので。

それに科学は一年経つだけでおっそろしい程の進化を遂げてたりもしますし、これからはパイロットとかも諦める必要なんてなくなるかもしれないですしね。

 

犬もまたいつか、青空に咲き誇る満開の桜を見られたらいいなと思います。それを見たら、きっともっともっと絵が描きたくなるんだろうな。