いろは観察日記04
五月四日(月)
昨日はいい運動が出来たわ。おかげでぐっすり眠れたし、目覚めも爽快。結構早い時間に目が覚めて、朝風呂にも入ったわ。途中でいろはも起きたみたい。洗面所に入ってきたから一緒に入る? って聞いたけど、もうフェリシア達が起きてきてるからやめておくって。本当に早起きしたのねあの子達。
お風呂から出てリビングに戻ったら、ちゃっかりさなも混じっていた。なんでも昨日の映画が思いの外面白くって、どうせなら一話から見たかったんですって。朝食を作ってるいろはを手伝いながら、私も流し見。幼女向けだけどバトルシーンも結構あって、緩急もはっきりしてるから面白いのよ。今度私もちゃんと見てみましょうか。
ifマギレコ01
全てを失った後に、一人の少女を拾った。それは、全ての始まりとなる少女だった。
「七海さん」
そっと。驚かせないようにかけた声は、あまりに小さく吐息のようだ。いっそ届くかどうかもわからないくらいの声量は、自分でも笑えるくらい震えている。
「……なんですか」
「そろそろ帰った方がいいよ。もう夜も遅いから」
こちり、こちり。壁にかかった時計から、規則的な音が響いていた。短信が十一を過ぎたそれをちらりと見上げ、笑顔で促せば不満そうな顔。
「もう、電車がない気がします」
「どうかな。ギリギリ終電には間に合うかも」
「そうだとしても、この時間に一人じゃ補導される」
「塾だったって言えば平気だよ」